社員のための会社づくり そして、社員の家族のための会社づくり

“会社の一番の財産”である社員のために、力の限りを尽くして邁進していく。 「社員満足度100%への挑戦」は、 永遠のテーマです。

言わなきゃいけないこと、言わなくていいこと

先日、とある病院に、一人のおばあさんが入院してきた。

年齢は70代後半だろうか。

ご主人との二人暮らしらしい。

ご主人も同い年くらい。

二人の娘がいて、一人は近くに、もう一人は神戸に住んでいる模様。

おばあさんは、肺に水がたまって入院してきたのだが、

1週間前に別の病気が回復し、退院したばかりの模様。

入院時、ご主人の前で口にした一言で、

僕はそのおばあさんが嫌いになった。

「なんで私ばかりがこうなっちゃうのかしら?」

順番的に、今度はあなたじゃない?とでも言いたかったのだろうか?

僕なら、すべての不幸は自分が背負うから、他の家族には苦労をかけないで欲しい

と神様に祈りたいくらいだ。

こんなおばあさんだが、ご主人はものすごく優しい。

病院の食事はまずくて食べられないといえば、

他でおいしいものを調達してきたり、

洗濯もしてあげるなど、80歳近くのおじいさんが対応しているのだ。

夫婦喧嘩をしても、毎日やってくる、本当にやさしいおじいさんだ。

近くにいる娘は、おばあさんと仲がよさそうだけど、

洗濯をしてあげようなどとはまったく口に出さない。

何かというと、おばあさんと愚痴を言い合っているようなだめだめな娘。

そんな娘に気に入られようと、娘には駄目だしができないおばあさん。

神戸の娘は、音沙汰がないようだ。

だけど、娘の子供が通っている高校が、あの神戸高校のようなので、

看護婦とはインフルエンザが発生した神戸高校に孫がいるのよ〜と

すべての看護婦に話しかけている。

そうかと思えば、

あそこのランチは高価だけどおいしかった、、、とか

娘のご主人はゴルフにはまっている、、、とか

それはそれは、自分はセレブなので、ちょっと違うのよ〜みたいなことを言っている。

そして、内科から外科の先生に担当が代わろうとしたとき、

昔、そのおばあさんが家政婦をやっていた方のお子さんが担当医になろうとしていた。

そしたら、それまで散々看護婦に紹介していたのだが、

当然のごとく、その医者に、「私、あなたのお母さんと知り合いなの」と言い出している。

そもそも、セレブなのに家政婦???と突っ込みたくなるが、

それはおいておいて。。。

そうこうしていると、外科にまわるの話がなくなった。

いつもおばあさんがぼやいている腹痛が、尋常じゃないくらい悪かったからだ。

それもそのはず、

おばあさんは医者や看護婦が来ると、腹痛のことより自慢話をしてしまい肝心の話をしない。

おばあさんは、痛いといわなくても、医者なら気がつくだろ?とでも言いたいのだろうが、

医者は神様ではない。

症状を説明してくれないと、気がつくわけないのだ。

システムを構築してもらう人にも言えるし、

システムを構築する技術者にも言える。

何が問題なのかということを、早く言ってくれ。

協調ゲームを行っているはずなのに、

出し抜きゲームを恐れて発言を控えられたら、最悪の事態になっていくのだ。

残念だが、、、このおばあさんは長くはない。

肺に水がたまっているのが原因ではない。

腹痛は、腸閉塞を伴う癌だったからだ。

もう、あの病室から出ることはないだろう。

その原因が誰にあるのか、

おばあさんが気がつくことはあるのだろうか?

おばあさんは、先生を信頼しているというだろう。

だけど、症状を口に出さない患者は、先生を信頼しているとはいえないのだ。